2012年08月11日
「なでしこを見返してやる」

大津祐樹というオリンピックの男子サッカーのアスリートがいます。
この男が、試合前に、TVのインタビューに答えて、「なでしこを見返してやる」と言った一言で、私は、とても気分が悪くなりました。
『見返す』とは、広辞苑によると、「昔受けた侮りや辱めに対する仕返しとして、相手をしのぐ状態にある自分を誇示する。」という意味です。
大津祐樹は、なでしこから、侮りや辱めを受けたわけではないのです。なでしこが順調に活躍していること、素晴らしいチームワークであることを日本中に提示していることが、ただ、うらやましいだけなのです。
ならば、なでしこに、今の日本の男子サッカー代表チームが、とてもとてもかなわないことを素直に認めたうえで、努力する必要があるのです。
何事においても、自分の現在の能力を冷徹に客観的に自認してから、目標を設定しないと、絶対に成功はしないことなどは、大昔から決まっています。
オリンピックにおいて、何色のメダルを取ったかどうかなんて、どうでもいいのです。チャレンジする姿勢や精神的背景の方が、数億倍大切なことなのです。
今後、大津祐樹、のような、人道的に問題のあるアスリートがたくさん出ないことが、とても肝要になるでしょう。
このような人間の輩出の全責任は、親のしつけにあります。心して子供をしつけていただきたいものですね。
スポーツはいじめではないのですから、「仕返し」「見返し」のような概念は、スポーツの中に断じて存在してはならないのです。
あたり前のことですが、「負けるものか」という気合いと、「なでしこを見返してやる」という策略は、全く別次元の出来事なのです。
掲載写真は、銀メダルに終わった後、ロッカールームで、みんなを笑顔にした、「なでしこ」の、大野忍さん、です。
アスリートたるもの、彼女のような前向きで明るい姿勢で、頑張っていただきたいですね。

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2012年08月07日
オリンピックの女子サッカー準決勝戦

昨日の夜中(というよりも今日の早朝1時から)、私は、NHKで、ロンドンオリンピックの女子サッカー準決勝戦をライブで見ました。
目的は、なでしこ、と、フランス、の戦いを見ることでした。
試合内容、観客、サポーターの反応、全て素晴らしいものでした。2対1で日本が勝ったので、素晴らしい結果もついてきました。
しかししかし、誰だったのか、名前も覚えていないのですが、実況のアナウンサーの男のしゃべる内容がサッカーの試合よりも金メダルが取れるかどうかが第一、という、阿呆であったことと、コメンテーターの女の声の音域が本当に不愉快な高さにあって、テレマン、クヴァンツ、チマローザ、あたりの、クラシックのバロックから古典あたりの、才能の全くない作曲家のソナタ作品の、メジャーの終楽章のロンドのような響きだったので、発言内容はアナウンサーよりはサッカーのことを愛していることはわかったのですが、非常に非常に不愉快でした。
考えてみると、TVのスポーツ観戦で、解説者やアナウンサーのしゃべる内容にその人達の考え方が垣間見える時、頭脳水準や、日々何を考えて、何を目標にして生きているのかが感知されるのです。
そして、その人達のしゃべる声のイントネーションの抑揚や何ヘルツあたりの音を出しているかは、作曲家の私にとっては、とても重要なのですね。
最近、TVで聞いた人の声で素晴らしかったのは、古舘伊知郎の報道ステーションに出て、原発問題についてしゃべっていた、尊敬する作曲家の坂本龍一氏の声の音域、地井武男さんのお別れ会で「チイ兄、会いたいよ」と言った田中邦衛さんの声、が、双璧でしたね。
田中邦衛さんは、独特のしゃべり方からよく物真似の対象になっていますが、しゃべる声のヘルツの抑揚までは、誰一人として真似出来ないことは決まっています。
坂本龍一さんの声に浸っていると、私の頭の中では、彼の傑作作品の「戦場のメリークリスマス」が響くので、本当にほっとするのです。
しかししかし、8月7日の早朝にNHKの実況で聞いた、なでしこ、と、フランス、の戦いの解説コメンテータの女性の声の音域は、全く知性のない領域にあったタメ口でしたので、主役のアスリートの活躍を台無しにするものでしたし、視聴している全ての人のハートを尖った爪でひっかくような残酷で気分の悪いものでした。
でも、世の中便利になっていて、下記URLで、解説なしの動画が見られることがわかりましたので、本当にサッカーの好きな皆様は、そちらでご覧になることをおすすめします。
http://www1.nhk.or.jp/olympic/football/
朝の3時過ぎに、なでしこ、と、フランス、の準決勝は終わったので寝ようと思っていたら、たてつづけに、もう一つの準決勝の、アメリカとカナダが始まったので、なでしこが決勝で戦う相手も気になったので、朝6時過ぎまで、見てしまったのがいけませんでしたね。
アメリカとカナダの試合、もうそれはそれは、負傷者続出の戦争でした。もちろん、両チームとも、素晴らしいスポーツマンシップと集中力で試合をしたのでよかったのですが、私はアーティストで、人が傷つくところを面白おかしく眺めている、大津市の中学生ではないので、解説コメンテータの甲高い声と相まって大変に疲れました。
これも素晴らしい試合でした。4対3でアメリカが勝ったのですが、私の受け取った正直な感想では、カナダの方が素晴らしいと思いました。
なでしこは、アメリカと、金メダルをかけて戦うので楽しみですが、今回、私は、フランス、カナダ、アメリカ、日本のなでしこ、の4チームに順列をつけなくてはならない、哲学的な明確な理由は思いあたらなくなりましたので、素晴らしい準決勝戦でした。
4つの国の代表チーム全てに、深く深く、感謝しています。
掲載写真は、フランスに勝った瞬間、喜んでいる日本のなでしこ、の状況です。

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2011年07月18日
失語症になった「なでしこ」の名試合

人は全て、異常な感動に襲われると、失語症になってしまうものですが、今日の早朝、同時中継で見た、「なでしこ JAPAN」と「アメリカ」の、『FIFA女子サッカーワールドカップ ドイツ2011』決勝戦の後の私は、全くその状態でした。
強豪アメリカの何回もの攻撃による得点を跳ね返し、PK戦まで持ち込んでの、劇的勝利。
「なでしこ JAPAN」のあまりにも素晴らしい試合だったので、負けたアメリカのサポーターも、オバマ大統領も、何の文句も言えず、「日本おめでとう」と言っていたことが、真のスポーツマンシップに基づいた、素晴らしくさわやかな反応で、さらに感動しました。
クラシックピアノコンクールなどではあり得ない、この、言い訳の出来ない、明確な勝ち負けが、スポーツの素晴らしいところなのですね。本当に感動しましたので、アーティストの私は、それ以外の言葉を出せません。
「なでしこ」の花言葉は、『出会う人たち全てにささげる、邪心のない愛』、です。
「大和撫子」と呼ばれる品種の正式名は『真葉植物門モクレン綱ナデシコ目ナデシコ科ナデシコ属のエゾカワラナデシコ』なのだそうですが、「撫子」という漢字名称に基づくように、撫でたくなるほど美しい花、という意味で、一般的には捕らえられています。が、我が子を亡くした母がこの花を形見として撫でたから、とか、繊細に切れ込んだ花弁が我が子の髪のようで撫でてやりたくなるから、とか言う意味で、日本の女性や母の優しさの象徴になっていて、それがこの花言葉の原点だそうです。
もともと、中国から伝わった植物ですが、『万葉集』、『源氏物語』、『枕草子』などの名だたる古典文学も取り上げられ、江戸時代には品種改良がたくさん行われるほど、歴史的にも、日本人に愛された花です。
「なでしこ JAPAN」の今回の試合運びは、このような、「ナデシコ」の本来の意味を象徴するような、素晴らしいものだったなあ、と、改めて感動しています。