2013年06月27日
米倉利紀はいいな

6月24日の月曜日、コラボ相方の山本君がいつものようにうちにやって来て、楽しい音楽三昧のひと時を過ごしました。
彼が、大好きだという、米倉利紀の曲のCDをもらって、ピアノ譜のスコアも見ていたのですが、ぼく自身がアレンジしてやってみたいと思うほどの曲がなかったので、いろいろと相談しました。
ぼくは、あまり、昔の、自作室内楽演奏のVHSを見せるなんてことは、母の没後は、特にしたいと思っていなかったので、しばらく、たんすの奥にしまっていたのですが、性格のまっすぐな山本君には全て見せたいと思ったので、1989年に、東京御茶ノ水カザルスホール第2回アマチュア室内楽フェスティバルオーディションで1位受賞した自作の、「クラリネットとピアノのためのドメスティックなラプソディー OP.61」のライブを見せて、暗譜でデュオ室内楽をやることの意味合いと楽しさを説明して、山本君とは、1989年当時やったクラリネット奏者の春日君とのデュオくらいの密度の高いコラボをやりたいことを言っていろんなお話をしていたところ、彼が、You tube で公開されている、米倉利紀の自作自演の「hands」という作品をぼくのパソコンで出してくれて視聴しました。
あるライブでの収録だったのですが、キーボード奏者とのデュオで始まって、開始直後、米倉利紀氏が静寂の間をとって、手を揚げた瞬間、次のフレーズが始まるようになっていました。ボーカルの米倉利紀氏が暗譜していることはあたり前だったのですが、キーボード奏者も全く暗譜で、米倉利紀氏の動きを見て、次の音を出すタイミングを決めていました。この瞬間、「これだよ。ぼくは、コラボはこういうふうにやりたいんだ。この曲が米倉利紀氏のナンバーでは最高傑作だ。」とぼくは直感しましたので、「米倉利紀氏の作品をやるのなら、絶対に、この『hands』をやろう。」とぼくは言っていました。
「いやあ、この作品は、米倉利紀さん自身、一番大切な作品なのですよ。」と彼。
「えーーーっ、じゃあ、どうして、この曲を先に教えてくれなかったの。この曲最高じゃない。」とぼく。
「この曲、ぼくも一番好きなんですけど、スコアもCDも出ていないので、ご負担かけるの悪いと思って。」
「スコアやCD、そんなものあってもなくてもぼくの負担は変わらないよ。ぼくは絶対音感のある作曲家だから、音源さえあればOK。それに、こんな素晴らしい曲だったら、アレンジしたい気持ちになるから、はるかに楽しいよ。このキーでいいの。だったら、根音はE♭だね。変ホ長調だからすぐに出来るよ。それと、次の、『カフェ くさか』で君とコラボしようと思って、一曲、つい一時間前に作曲したからね。題名は『うどん県・それだけじゃない、カフェくさか』にしようと思ってる。『カフェ くさか』のテーマソングにすればいいね。」
と、ぼくは言って、歌詞と途中でコテコテの讃岐弁の会話の入った曲をピアノに向かって一緒にやりました。
高松市を代表する讃岐うどん店の、「さか枝」と「黒田屋」が出てくる、愉快な讃岐弁のおしゃべりの挿入された、『うどん県・それだけじゃない、カフェくさか』を、ピアノに向かって彼のボーカルで合わせました。
マジに、可笑しな可笑しな作品なので、彼は、練習にならないほど、心底笑っていたので、OKなので、「hands」と、このぼくの新作をやることにしました。
いろいろお話を聞くと、米倉利紀氏が、うどんが大嫌いなこと、しかし、高松でライブをした後、『黒田屋』で食べたうどんに感動したことを聞いたので、米倉利紀氏は素晴らしいミュージシャンだと確信しました。
まあ、そりゃあそうでしょう。彼の出身地の大阪のうどんなんて、讃岐うどんに比べたら、喉ごしは、大したことないですから、「生醤油うどん」が抜群に美味しい、「黒田屋」で召し上がったら、うどん観が変わること間違いないですからね(笑)。
ぼくは、グルメでない人は、ミュージシャンだとは認めていないのですよ(笑)。

そんなこんなで、何回も何回も、米倉利紀氏のライブを見ていたのですが、抜群の音楽性に感動しました。音感が素晴らしく、ファルセットについては、ナンバーワンに近いボーカリストだと確信しました。が、ぼくが、一番、いいな、と感じたのは、間の取り方でした。
音楽は時間芸術ですから、年がら年中、音は鳴っていなくていいのです。音の洪水の持続は音楽ではなく、音が鳴っている時と鳴っていない時のバランスとタイミングが一番大切なのですが、彼の歌は、その一番大切なことを思い出させてくれるような名演でした。だから、静寂をどこに入れるか、という、作曲の時に一番心がけていることを第一に考えてぼくはアレンジすることにしました。作曲家を本気モードにさせる演奏を展開しているのですから、米倉利紀氏は、抜群に素晴らしいミュージシャンだと思いました。

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