2013年09月11日
「きにょう、ごうとう、いたんじゃあ。」


今回のブログの題名の意味がわかる人は、生粋の讃岐人ですね(笑)。
他県の方は絶対にわからない讃岐弁の言い回しの一つです。
きにょう=昨日(きのう)
ごうとう=高松市郷東町〔ごうとうちょう〕(この町の郷東川の河川敷に桜が一杯なので、お花見の名所です。)
いたんじゃあ=行ったのですよ
ですから、これは、桜が満開になる春の時期に高松で交わされる会話の一部で、「昨日、郷東町の郷東川の河川敷に、お花見に遊びに行ったのですよ。」という意味なのです。
ですから、この言葉に対応する受答え言葉は「ほーなー。それは、よかったのう。」〔そうなのですか。それはよかったですね。という意味〕でよいのです。
ただし、この言葉は、県外の人には全く理解されないばかりか、勘違いの元になるのです。
まず、「ごうとう」を『強盗』と思われること。「いたんじゃあ」が、『行ったのですよ』ではなく、『入ったのですよ』と、聞こえてしまうと、大変なことになるのです。
一昨日、お邪魔した、自宅近所の、新設された、「TUTAYA・西宝店」内の「トゥリーズコーヒー・西宝支店」でコーヒーをいただいたあと、このFCを展開しているのは、岡山の会社なので、店員は岡山の方でしたので、いろいろおしゃべりしている中で、うどん県の方言についてご案内した中でこのことに触れると、爆笑していました。
香川県にずっといて、讃岐弁をしゃべっていると、他県の人には絶対に理解してもらえない言い回しがありますが、その一部をご紹介しましょう。
まず、喫茶店に行って、お水をおかわりした時に、店員さんが、コップにたくさんの水を入れて下さって、溢れそうになったとき、讃岐弁ではこう言います。
「有難うの。ほんだけど、そんなにようけ入れたら、水がまけるでないんな。」
これは、「有難うございます。でも、そんなにたくさん水をグラスに入れたら、こぼれますよ。」という意味の讃岐弁なのですが、絶対に理解してもらえませんね。
それは、他県の方には、「水が負ける。」と聞き取られるからです。
「お水が、勝ったり負けたりするのですか。」と思われることは間違いありませんね。
同様、ご飯をいただいた後、お腹が一杯になったときに、お腹一杯です、という意味で、讃岐弁では、
「ああ、腹(はら)が起きた。」と言うのですが、これも、他県の方には、
「お腹が、寝たり起きたりするのですか。」と思われることは間違いないので、理解してもらえません。
「なんがでっきょんな」は、「秘密の県民ショー」で取り上げられてから、「こんにちわ。」というご挨拶の言葉だということが知れ渡りましたが、まだまだ、香川県民にしか理解できない言い回しがあります。
昔からの老舗の八百屋さんに行って、タマネギを買うときには、讃岐弁では、「タマネギいたぁ。」と言います。
これは、タマネギが痛いのではなく、「タマネギを下さい。」という意味なのです。
〔老舗うどん店に行って、キツネうどんを注文する時には、「キツネいたぁ。」と言えばよいのです。うどん店はうどんしかありませんから、うどん、はつけなくてもオーダー出来ます。が、「いたぁー」、は、「下さい」という意味の、一応、謙譲語なのですが、うどん県では、「いたぁー」にアクセントがつきますから、へりくだっている様には聞こえませんね(笑)。〕
さて、こうやってタマネギを注文すると、必ず、次のように返って来ます。
「へぇー。タマネギやのう。なんぼがんいるんな。」
これは、「かしこまりました。タマネギですね。何個ご入用ですか。」という意味の讃岐弁なのです。
がん=分、という意味なのです。が、イントネーションが大問題なのです。というのも、『がん』にアクセントがつきますので、県外の方は、「この八百屋さんは、拳銃を売っているのだろうか。」と誤解されます。
大体、「へぇー。」が「かしこまりました。」という意味だということは、香川県民も認識していないような、慣用句になっていますから、大変なことなのですね(笑)。
そして、こう言われた時の讃岐弁の回答は、個数が少ない時はいいのです。
「2個いたぁ。」・・・・・これは理解していただけると思います。しかし、全部欲しい時が問題なのです。
「まんでがんいたぁ。」・・・・・全部下さい、という意味です。まんで=全部、という意味なのですが、ここでも、『がん』にアクセントがつきますから、県外の方には誤解される元になってしまいますね。
東京に長くいて、出身地の高知県にUターンした、友人の、Y氏は、高松で生粋の讃岐人が讃岐弁でしゃべっているのを聞いて、怖くなったそうです。今の場合のやり取りを横で聞いたら、次のようになります。
「タマネギいたぁ。」
「へぇー。タマネギやのう。なんぼがんいるんな。」
「まんでがんいたぁ。」
この一連の会話の中で、一番強く聞こえるのが『がん』なのですから、この人達は、拳銃を密売しているのかと思われたそうです。
でも、香川県民は、拳銃を密売したりはしていませんよ。
香川県警のゆるキャラが、高松市屋島壇ノ浦で平家の扇を射落とした那須与一の「よいち君」なのですから、香川県民は、香川県警の那須与一の弓矢で守られている、のんびりした穏やかな土地なのです。
・・・・・
そんなことを思いながら、私は今日のブランチを、近所の「やま家」で、冷たいかけうどん、ナスの天麩羅、アジのフライ、をいただいたあと、タバコをくゆらせていました。
すると、そこに、明らかに、県外客の三人連れが入ってきました。
とても蒸し暑かったので、冷たいうどんを食べたい、とおっしゃって、迷っていましたが、イントネーションですぐにわかりました。
早速、私は話しかけ、アドバイスしましたよ。
「遠方からいらしたのですか。」
「広島から参りました。」
「そうですか。でしたら、高松での讃岐うどん店は初めてですか。」
「はい。」
「よかったですね。この店は、高松市内では、細いうどんでは、一、二、を争う、美味しいうどん店ですよ。冷たいうどんでしたら、ここは、イリコダシが素晴らしいので、冷たいかけうどん、が抜群ですよ。イリコダシは、塩分がほとんどありませんから、体にもいいですよ。」
「ああそうなんですか。よかった。」
と言って、ご注文されて、とても美味しかったので、御礼を言われました。
でも、私は思うのですよ。香川県出身の弘法大師のご加護で、雨が降らなかったのでお米が凶作になってもうどんが発達したお陰で餓死せずにすんだうどん県民として、この程度のことは、アドバイスさせていただくべきだと。
余計なおせっかいでしょうか。
でも、私は、何もかもそのように考えて、周囲との出会い頭のコミュニケーション否定して、生きることはつまらないと思います。
作曲や演奏を通して自分の気持ちを伝えたい音楽家は、全員、余計なおせっかいをしていることになりますよね。
2020年の東京オリンピックに出場して、素晴らしいパフォーマンスを展開して、それを、観客に伝えたいと思っている全てのアスリートも、全員、余計なおせっかいをしていることになりますよね。
「袖振り合うも多生の縁」を全否定して、「ウザい」、「ムカつく」などと、全ての悪い出来事を周囲のせいにして生きるほど、精神的に貧しいことはありませんね。
「ウザい」ものや「ムカつく」ものを全て排斥削除して生きる人は、人間力はゼロなのですよ。
謙虚さゼロで、自分の欲求を満たすためだけに生きるほど、空しいことはありませんね。
掲載写真は、「やま家」の『冷たいかけうどん』、です。

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Posted by 岡田克彦 at 17:34│Comments(0)
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