2014年08月26日
「ええぶん」と「うまいぶん」

私が高松高校在学中の頃〔つまり、1972年~1974年〕、高松には、「ごんな」というラーメン店がいっぱいありましたが、その一つが、高松高校の斜め向かいにあったので、大食い競争の場になっていました。
サッカー部のキャップだったM君は、音楽の授業の前後に、ピアノでショパンのバラードなどを弾いていた私の周囲にいつも女性がいたことが、我慢ならなかったようで、常に私をいじめていました。不思議なご縁で、彼も私も国立大学を滑ったため、滑り止めでキープしていた、早稲田大学政経学部に進学したので、仲良くなったのですが、彼のいじめが止まったのは、「ごんな」で『ええぶん』を30分で何杯食べられるかという勝負をした時で、私が先に8杯を完食して勝った時でした。
その後、彼は私に急に優しくなったので、スポーツマンシップとはこういうことなんだな、と、私は勝手に理解しておりました(笑)。
「ごんな」が、どうして、うどん県に出来たのか、私は全く知らないのですが、激安ラーメン店として定着していました。もちろん、当時の讃岐うどんの製麺所のかけうどんは、80円くらいでしたから、ラーメンが、喫茶店の250円もするホットコーヒー同様、高級食材であるという認識は徹底していましたけどね(笑)。
ただし、旅館の若女将をしていた、私の母は、変なプライドから、「ラーメンは老舗中華料理店の『平安閣』か、グランドホテルの『鳳凰』に限るんや。『ごんな』、みたいな、わけのわからん店のラーメンを食べよったら、お大師さんのバチがあたりまっせ。」と私を脅していましたが、私の食欲にはかなわなかったのですね(笑)。
母が、「ごんな」を気に入らない理由は、メニューの命名にありました。
「ごんな」のラーメンには、『ええぶん』と『うまいぶん』の二種類があったのですが、これは、『上』と『並』に相当する表現として使われていました。従って、母の言い分としては、『上』=『ええぶん』、は、いいのですが、『並』=『うまいぶん』は詐欺である、『並』=『ようないぶん』にしないといけない、とのことでした。
しかし、飲食店で、メニューに、『美味しくないもの』などという品物を掲載したら、絶対に売れないだろうと思いましたので、私は母に「そんなにがいげに言わんでもかまんでないんな。」と言ってなだめていました。
まあ、うどん県民としては、パスタはうどんに決まっていましたから、ラーメン店の状況などはどうでもよかったのですよね(笑)。従って、「ごんな」の、今にして思うと、昔ながらの、鶏ガラスープのラーメンは、とても懐かしいだろうな、とは、思うのですが、私にとっては、M君との友情や、母をなだめた場所、という思い出がなければ、「ごんな」の存在意義は全くないようですね(笑)。

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タグ :讃岐ラーメン