2012年03月28日
「うどん本陣・山田家・東京スカイツリー支店」について

昨日は、また、快晴でしたので、自転車で出かけ、買い物なども済ませてから、お昼ご飯を、久しぶりに、「こだわり麺や・高松支店」で、うどん、おでん、イカゲソ天、などをいただきました。
すると、隣のテーブルで食べていたご高齢のおばあさんから声をかけられました。
私は、昔からそうなのですが、年配の女性から声をかけられることが多いのです。住友信託銀行新宿支店で勤務していた20歳代後半などは、同期入社の仲間数名と新宿の地下街を歩いていたとき、すれ違いざまに、年配の女性は、必ず、私に道を聞いたので、同期の仲間では、「岡田君って新宿地下街の道案内係なの。」なんて茶化されることもありましたので、まあ、慣れてはいるのですが、今日は、「うどん本陣・山田家・東京スカイツリー支店」について聞かれましたので、私は知っている限りのことをお答えしました。
何でも、そのおばあさんは、高松市牟礼町の「うどん本陣山田家・本店」の『釜ぶっかけうどん』が大好きだそうで、お嬢様の車に乗せてもらって、しょっちゅう行くのだそうで、東京スカイツリータワーが出来たら、親戚の皆様と観光で行くつもりなのだそうですが、その時は、絶対に、「うどん本陣・山田家・東京スカイツリー支店」で『釜ぶっかけうどん』を食べるつもりだ、とのことでした。

「うどん本陣・山田家」は、高松市内でも、うどん懐石の素晴らしい、高級なうどん一般店の一つです。うどんだけじゃなく、付け合せの鰆の箱寿司やてんぷらや和え物も素晴らしいのですが、ここの一番素晴らしいものは、広い敷地の庭と、文化財の建物、大正ロマンの内装なのです。
もちろん、高松インテリジェントパークなどにも支店はあるのですが、本店から目の届かない遠方に支店を出すと、うどんの品質が落ちるという理由で、これまでにも、全国のいろんなところから、支店出店のオファーがいっぱいあったのですけど、香川県外への支店出店は全部断って来たので、今回、東京スカイツリータワーからのオファーを受けたことに、高松市民は全員びっくりしているのです。
ところで、「うどん本陣・山田家」のうどんは、ほかの讃岐うどん店のうどんとは、全然違っています。
うどん名に、『釜』がついているものは、うどんを茹でた後、冷水でしめないで、釜揚げ状態でいただくもののことですので、うどんの麺の状態が全く違うのです。
釜揚げうどんが、通常のうどんとは全く違うことは、既に全国的に知られていることです。
西讃の「長田in香の香」と、高松市屋島四国村の「わら屋」が、香川県では、釜揚げうどんの美味しい讃岐うどん店の双璧と言われていますが、釜揚げうどん専門のお店は、釜揚げのうどんを、漬けだしにつけていただくようになっていて、かけうどんや、ぶっかけうどんのようなスタイルにはなっていないのです。
そのため、通常の讃岐うどん店やセルフ店において、『かけうどん』のうどんが釜揚げ状態であるうどんのことは、『釜かけうどん』と呼び、キャンペーンなどで、たまに、置いていることもありますがー、普段はメニューにはありません。
香川県内最大の店舗数のセルフうどん店「まるいち」は、たまに、『釜かけうどん』フェアーをやっていますが、『かけうどん』と『釜かけうどん』は全く別のうどんで、『釜かけうどん』は、釜揚げ状態のうどんに生卵をからめた『釜玉うどん』同様、茹でたてでないと出来ないので、時間がかかります。
私の自宅近所での、高松市鶴市町の讃岐うどん店「つるいち」には、『カレーうどん』と『カレー釜揚げうどん』の二種類をおいていますが、これも、普通のうどんと、釜揚げ状態のうどんを使ったものの違いがあるので、こしは全然違うのです。
県外の皆様は、どっちでも、こしがあればいいじゃない、とおっしゃるかもしれませんが、こし、という表現はいろんな要素を含みますので、うどんの麺に昔からこだわってきた香川県民にとっては、大問題なのです。

ところで、『ぶっかけうどん』に特化してこの麺の状態を、『釜揚げうどん』状態にしたものが、「うどん本陣・山田家」の『釜ぶっかけうどん』なのですが、香川県にうどん店はいっぱいあるのですが、『ぶっかけうどん』と、『釜ぶっかけうどん』を両方正式メニューに置いている讃岐うどん店はありません。というのも、ぶっかけうどんになると、釜揚げ状態と冷水でしめたうどんでは、手打ちの仕方、材料の小麦のブレンドから、全部変えないといけないくらい、こしに、微妙な差が出ますので、大変だからなのです。
こうした中で、「うどん本陣・山田家」のうどんメニューの中心は、『釜ぶっかけうどん』ですので、小麦のブレンド、手打方法など、全て、『釜ぶっかけ』に合わせていますので、ほかの店とは、全く、うどんの麺の状態が違っているのです。
従って、東京スカイツリータワーの中に、「うどん本陣・山田家」が支店を出すということは、本場香川県の讃岐うどん店が支店を出すということとは全く違っていますので、東京の皆様には、是非、ご認識いただきたいと思っています。
が、東京には、『釜揚げうどん』状態でない、完璧なうどんの麺を日常的に楽しめるほどの、本格的な讃岐うどん店が、まだまだ少なく、その違いを相対的に判断できる環境ではないので、実際に認識することは不可能だろうと思います。
高松では、ふだんは、「たも家」や「綿谷製麺」などの普通のうどんで作った『ぶっかけうどん』を日常的にいただいているのですが、ひと月に一回くらい、「うどん本陣・山田家」で、『釜ぶっかけうどん』をいただいて、こしの違ううどんを楽しんでいるのです。
うどんを主食にしている香川県民にとって、『ぶっかけうどん』と『釜ぶっかけうどん』は、お米を主食にしている、他県民にとっての、『コシヒカリ』と『ササニシキ』の違いどころではないのです。『日本そば』と『ラーメン』くらいの違い、『親子丼』と『牛丼』くらいの違いがあるのです。
・・・・・など、東京のうどん文化は、まだまだ未熟ですね、と、そのおばあちゃんとお話しました。
掲載写真は、順に、昨日のお昼、「こだわり麺や・高松支店」でいただいた、『かけうどん、イカゲソ天、ちくポテ天載せ』、『焼き豆腐と大根のおでん』、「うどん本陣山田家本店」の、緑豊かな庭園を見れるお座敷席、「うどん本陣山田家本店」の、『釜ぶっかけうどん』です。
Posted by 岡田克彦 at 01:35│Comments(0)
│讃岐うどん