2012年03月31日

高松の「タイタン」

高松の「タイタン」



















皆さんは、「タイタン」と聞いて、何のことだと思いますか?



大多数の方は、地球に環境が似ている、土星の最大の惑星のことと思われることでしょう。



私のようなミュージシャンは、マーラーのシンフォニー第1番(巨人)のことかな、と思うのですが、マツダの小型トラックのことだと思う人もいらっしゃることでしょう。



また、アニメオタクのみなさんは、「ガンダムシリーズ」の軍隊のことだと思うはずです。



しかし、高松で話されている『讃岐弁』においては、全然違うのです。



高松で話されている讃岐弁においては、『タイタン』という単語ではなく、『タイタ』と『ン』、に別れるのです。



そして、『タイタ』は動詞、『ン』は、名詞なのです。



もう既に香川県の皆さんはお気づきでしょうけど、『ン』はとても便利な名詞で、「・・・・・した物」の「物」という意味の名詞で、いろいろな動詞をその前につけることによって、いろいろなものを表現できる万能名詞です。



本来は、『ブン』なのですが、これの短縮形が、『ン』なのです。



そして、『タイタ』は、「炊いた」ですので、讃岐弁において、「タイタン」は、「煮物」のことなのです。



同様、讃岐弁においては、「ムシタン」は「蒸し物」、「ヤイタン」は「焼き物」、「アゲタン」は「揚げ物」ですので、料理名のほとんど全ては、調理法を、『ン』の前につけることによって表現できるのです。



高松には、高等裁判所、霞ヶ関の四国統括本部のほとんど全て、大手企業の四国支店、戦前から三越の支店がありますので、もともと見栄っ張りな土地柄で、お中元やお歳暮は中身ではなく包み紙で判断するので、三越の包み紙でないと、「ふうがわるい」(格好悪い、と言う意味の讃岐弁)と思いこんでいる人がたくさん住んでいますので、車のシートベルトも、運転が上手くても下手でも、締めていないと「ふうがわるい」と思って締めているだけなので、年中交通事故が多いので有名です。



大体、方言は、文言で使われることはほとんどないことが多いのですが、高松はこういう見栄っ張りな風土から、方言を、文言にすることなども、「ふうがわるい」ので、絶対に文書化されないで、高度成長時代を過ごして来ていました。



高松市のど真ん中に、小さな五階建ての安いビジネスホテルがあるのですが、その名前は、以前は、「大丸イン」だったのですが、こんな大阪のような商売人のたまり場のような名前は「ふうがわるい」ので、首都の東京のような名前に変えて、「高松ヒルズ」に変えたのです。



この場所は、丘陵地ではなく、瀬戸内海に近い讃岐平野で、この前の高潮の時は水浸しになった場所なのに、「ヒルズ」とは何事でしょう。しかも、五階建てなのですから、「六本木ヒルズ」とは全く無縁の建物なのですから、笑ってしまいました。



笑ってしまう、というと、高松の戦中派の皆様は、「東京スカイツリータワー」の併設の低層階ビルが32階建てだということを、テレビのニュースで見て、大ショックを受けていましたが、それは、30階建ての高松サンポートタワー、という、ランドマークタワーが、超高層ビルだと信じていたからのようです。



しかし、徳島県の阿波池田には、「民宿ヒルトン」がありますので、ちょっと、高松でも阿波池田には敵わないのです(笑)。



こういうことは、商標登録上、問題なのでしょうが、四国は海外ですし、江戸時代には島流し先でしたし、さらにその昔には、平家の落武者が逃げて来た場所なので、いいみたいです(笑)。



しかし、もう、今の世の中は、地方分権しないとサバイバルできないのですから、東京の真似事はやめた方がいいですね。



すなわち、高松市の「美術館通り」のような、渋谷の「公園通り」みたいな名称はやめた方がいいのです。



大体、高松市立美術館が地価の高い町のど真ん中にあること自体おかしいのですが、高松市立美術館の土地は、もともと、「日銀高松支店」があったところなのです。



どうしても、東京の真似をしたいのならば、高松市内中心部の主要通りは、全て、「公園通り」にしたらいいのです。だって、2キロ以内に、栗林公園、玉藻公園、中央公園、という大きな公園だらけで、主要な通りはこの三つの公園に近いのですから全然問題ないのです。



さて、昨日のお昼、私は、またまた、高松市南新町商店街の朝採れ野菜専門店「農民一揆」の奥の、朝採れ野菜専門レストラン「大日本社員食堂」で、またまた、感動的な名称のランチ(600円)をいただきました。



昨日のランチは、ハンバーグ定食でしたが、この店は、メイン料理よりも、20品ほどの野菜料理から2品選べる、付け合せの、朝採れ野菜を使った副菜が美味しいので有名です。



昨日は、副菜をどれにするか迷いました。全部美味しそうだったのですが、いろいろ絞って、『高野豆腐の煮物』、『サトイモの煮物』、『菜の花の辛し和え』、『葉ゴボウと小松菜の炊いたん』の四品のどれか二つをいただこうと思ったのですが、昨日は気温が20度近く暖かかったので、春らしい『菜の花の辛し和え』を採ろうとした時、女性店員の方がおっしゃったのです。



「それ、辛いですけど大丈夫ですか。」と共通語で応対されたのですが、私は、讃岐弁で返しました。



「そんなに、ものっそ辛いんな。」と。するとその店員さんすぐに讃岐弁に変えて言ってくださいました。



「へぇーー。辛いのう、言う人もおりますけん。お客さん辛いんは大丈夫なぁー。」



「そうやの。この前、うどん屋何軒かで、菜の花のお浸しは食べたけんのう、・・・・・ほんだら、この隣の、葉ゴボウのぶんも春らしいけんうまげなのう。」



「そらぁ、今が旬やけん、葉ゴボウと小松菜は香りがええでっせ。」



「『葉ゴボウと小松菜の炊いたん』やのう。『炊いたん』、『炊いたん』、『タイタン』、讃岐弁丸出しやのう。」



「はい。『タイタン』です。」(爆)



本当に、方言は素晴らしいですね。一挙にその店員さんと距離が縮まったので、『葉ゴボウと小松菜の炊いたん』をお皿に採り、『高野豆腐の煮物』と『サトイモの煮物』のどちらが美味しいかも聞きました。



「野菜が好きやったら、サトイモがええで。」



ここの店員さんは、全員、この朝採れ野菜を作っている農家の親戚ばし、ですから、これは、間違いなく、サトイモが美味しい、ということなのです。



「そうやのう。お大師さんの豆腐も美味しいけど、このあたりのうどん屋全部で揚げまくっとるけん、サトイモにするわ。」



と言って、私は、『サトイモの煮物』を採りました。



しかし、その隣にあった、『レタスと水菜の煮浸し』も美味しそうだなあ、と思って眺めていたら、



「今日はレタスがええんや。ほんだけん、味噌汁はレタスでっせ。」



とその店員さんはおっしゃいましたので、ラッキー、と思いました。



レタスの味噌汁は本当に久しぶりでしたが、レタスが新鮮で、シャキシャキ感がしっかりとないと、美味しくないですからね。



こうしていただいたのが、掲載写真のランチです。



デミグラスソースたっぷりのハンバーグのつけあわせに載っていた、レタス、フルーツトマト、グリーンアスパラ、はいつものように美味しかったのですが、レンコンのかき揚げ、が素晴らしかったです。



しかし、考えてみると、『高野豆腐の煮物』、『サトイモの煮物』、『葉ゴボウと小松菜の炊いたん』、と並んでいるのです。共通語の『煮物』と、讃岐弁の『炊いたん』がグチャグチャに混じっていること自体、実に感動的なことですね。



そのうち、メニュー名で、調理した人の年齢がわかるかもしれないことなどを考えると、方言は素晴らしい文化なのですね。









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この記事へのコメント
こんばんは
玉藻公園から栗林公園まで一体的に考えられる発想に刺激を受けました。
何か具体的なことにつながっていきそうな気します。
Posted by たみ家たみ家 at 2012年03月31日 19:55
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