2012年05月04日
東京の劇団の若い男の子達

今日は、快晴でした。風は強いものの晴れて気持ちのいい天気だったので、朝から「高松いろは市場」に、視察と食べに行きました。
朝8時に自転車で出かけて、いろんなところをブラブラしながら、南新町に入って、トキワ街、田町あたりの人出を見て必要な買い物もすませてから、トキワ街の「高松いろは市場」の前に着くと、「丸天のカツボンでないんな。なんしょんなあ。」などと声をかけられましたので、びっくりしました。祖父の経営していた「丸天旅館」の近所でしたので、懐かしい懐かしい、トキワ街の貸衣装店「谷宗」のおじさんでした。実に40年ぶりくらいに会いましたけど、お元気そうで何よりでした。
私は丸天旅館を経営していた岡田家の三代目の「ボンボン」でしたので、名前の克彦、の、かつ、をとって、小さい頃は「カツボン」と呼ばれていました。祖父はトキワ街の出口を瓦町駅に渡って向かって右側の、今、アイゼンパチンコ店のある広い敷地で旅館を経営していました。でも、もう55歳なのです。「ボン」はないよなあ、なんて感じていると、「あんたは、あそこにあった、もう潰れてしもうた、タマルのレコード店で、ツケで、ようけモーツァルトのレコード買いよったいかん子じゃったのう。」などと言われてしまいました。
ですから、「そんな大昔のこと言うたらいかんいかん。まだ小さかったころのことやけん周りに人が一杯やのに・・・・・、ふうがわるいけん、こらえてーたー。」と言って、
「それに、ボン、言うたって、うちより、トキワ本館の溝渕さんの方が、全然大金持ちやったけん、ほんまのボンボンは、わしでなしに、わしの幼馴染の、トキワ本館のボンちゃんの弘吉(ひろきち)やで。」と言い返しましたら、
「何を言よんな、ボンボンに本物も偽者もありますかいな。」と言われたので、大笑いになりました。
早速、「高松いろは市場」の中のどの店が、昨日の開店日、一番先に売り切れたかなどの情報収集をしました。
テレビのニュースなどでは、土佐料理の高知の「みませ」のカツオのたたきの藁いぶしのパフォーマンスが一番目立っていたのですが、意外なことに、一番最初に売り切れたのは、さすがは「うどん県」です、「麺屋軌跡」の、鯛のだしで作った塩ラーメンだった、とのことでしたので、まずは「麺屋軌跡」の塩ラーメンをいただくことに決めて、その前に、クレープハウス「ピンキー」で、バナナチョコクレープを買って、隣の、台湾スウィーツ「ありさん」のタピオカ入りアイスミルクティー、と一緒にテーブルに腰掛けていただきました。
周囲に座ったおじさん、おばさん、にいきなり話しかけて、情報収集しましたら、意外にも、一番の人気メニューは、一番奥の、「キャラバン・サライ・ダイニング」の、ワンコインステーキ丼で、とても美味しいミーディアムレアのサーロインステーキが載って500円なので、午後2時半には売り切れたとのことでしたので、後で行くことにしました。
が、隣に座った私と同世代のおじさんは、岡山からいらしていました。テレビで、ここの鯛のダシのラーメンが有名なのだそうで、私は知らなかったのでびっくりしました。が、イリコのダシに慣れているうどん県民は、鯛のダシのラーメンには絶対興味が行くと思いますので、カツオのたたきよりも鯛のダシのラーメンの方が、高松では売れると思いました。
その岡山の方は、朝五時に岡山を自家用車で出て、宇高うどんフェリーに乗っていらっしゃったのだそうです。「大変でしたね。」と言うと、「いやいや、讃岐うどんは早朝に限りますから、慣れていますよ。」とのことで、近所のうどんの美味しいお店を聞かれたので、私は「うどん棒・本店」のうどんとタコの天麩羅、「正家」の釜玉うどん、「黒田家・田町店」の生醤油うどん、「綿谷製麺・高松支店」の肉うどん、をご紹介して地図なども書いてご案内しました。
こうして、まず、「麺屋軌跡」の、鯛のだしで作った塩ラーメンをいただきました。10時に開店していたのですが、早く行ったお陰で15分くらいの待ち時間でいただけました。
ユズコショウが香り、とろとろのチャーシューとベースのあっさりしたこくのある鯛のだしとストレート麺の相性が抜群でした。
鯛を素焼きにしてからダシをとっているそうですが、豚骨のようなギトギト感は全くないのですが、奥深くしっかりとした深い味わいの鯛のダシでした。これは、高松で絶対ヒットすると思いました。お値段は700円でしたけど、それだけの価値は、うどん県では認められると思います。
「参ったなあ。やっぱり鯛のダシは、伊吹島のイリコのダシより深いなあ。」と大声で言うと、同じテーブルにいた、高松のおじさん、おばさんも同意していましたので、確実に売れます。
その後、私は、500円のステーキ丼は続けて食べられないので、テイクアウトして持ち帰ろうと思って、一番奥の「キャラバン・サライ・ダイニング」に向かおうとしたところで、この「いろは市場」の仕掛け人の、土佐人の岩目一郎さんが、マイクを持ってPRのアナウンスをしているのと出会いましたので、早速、名刺交換し、高松を活性化してくださった御礼を言いました。
「あなたこそ、平成の高松にとっての坂本龍馬です。」と正直な感想を申し上げましたら、恐縮されていましたけど、全くその通りだと、私は確信しています。
こうして、岩目一郎さんとご挨拶してから「キャラバン・サライ・ダイニング」に行ったところから、大幅に予定が変わってしまったのです。

「チキン南蛮丼、いかがですか。」という、とてもよく響く、彼の素晴らしい美声は、遠くから響いてきました。
「キャラバン・サライ・ダイニング」のカウンターにいた、数名の30歳代の男の子達の一人でした。
いい声だなあ、と作曲家の私は直ちにその声に惚れ込んでしまったので、アイスコーヒーを買って、そのカウンターに座って、お話しました。
「いらっしゃいませー。どうぞおかけ下さい。」
「はい。でも、ここ、タバコ吸ってもいいの。ぼくは吸うんだけど。」
「結構でございますよ。禁煙室は別にございますから。」
おっと、いいですね。「いろは市場」に、喫煙ルームはなく、禁煙ルームがあるのです。何と素晴らしいことでしょう。愛煙家の私は感動しました。
「はじめまして。ぼく、高松にいるおっさんの作曲家だけど、18年前までずっと東京にいたのでわかるんだけど、君は東京だね。イントネーションでわかるよ。」
「はい。東京から今回のオープンの応援で高松に参りました。」
「いいな。久しぶりに東京に戻ったみたいにおしゃべりできるなんて。で、ぼくは、吉祥寺だったけど、君はどこなの。」
「杉並です。」
「井の頭ぞいですか。そうか。じゃあ近所じゃない。よろしくね。でも、いい声してるね。みんなすごくよく響くいい声だよ。」
「有難うございます。ぼくら、全員、劇団に入ってるんです。」
「やっぱりね。発声が全然違うね。とても快適だよ。」
「エヘヘ。そんなこと言われると照れるなあ。」
などとお話していると、後ろのテーブル席にいた、高松のおばさんたちが、
「やかましいのう。ちょっとうるそうて、隣の人とも話せんわ。」
とおっしゃっていたので、私はすぐに讃岐弁に切り替えて言いました。
「ごめんのう。ほんだけど、おばさん、この子たち全員、俳優の卵なんや。東京の劇団で活躍しよるけん、自然に声が通ってしまうけんしょうがないんや。」
と言うと、
「何とな。ほんだら、テレビに出よるんな。」
「そらそうで。もうちょっとしたら、ハリウッドデビューするかもしれんけん、今のうちに写真とってもろうとった方がええで。」
と言うと、態度が急変して、携帯電話で写真を撮り始めましたので、
「ただで撮ったらいかんいかん。将来のスターなんやけん、何か追加でオーダーしまい。」
と言うと、オーダーが入りましたので、彼はびっくりしていました。
「讃岐弁は、友達言葉なので、お客さんにお願いしたりしないのですよ。命令するのです。『・・・・・まい』は、命令文なのですよ。」
「本当ですか。」
「うん。だから、次に呼びかけるときには、『どうぞこちらにおかけ下さい。』と言わずに、『ここに座りまい。』とお客さんに命令するか、ちょっと呼びかけるスタイルなら、『ここに座りまーせー。』と言えばいいんだよ。語尾を伸ばせば伸ばすほど、丁寧になるからね。」
などと、讃岐弁をご案内しました。
そのあと、ステーキ丼の材料のステーキがまだ到着しないとのことでしたので、夜もう一度食べに来てもいいな、と思ったのですが、なんだか、この、劇団の若者達が気に入ったので、テイクアウトはやめて、食べることにしました。
でも、協力するからには、売り上げに貢献しないといけないと思いましたので、お客さんを呼び込んだりしました。
とても楽しかったですよ。
途中で、ヒューズが飛んで照明が消えてお店が真っ暗になったりしましたが、彼ら若者は、直ちに、「私共は、エコなステーキハウスでございます。」と大声で呼びかけていましたので、爆笑してしまいました。
最後に、ステーキ肉が到着した午後1時ごろ、私の隣には、木太町と春日町の女性の奥様が座っていました。私のステーキ丼も出てきたのですが、隣の女性の方がごちそうしてくださった、チキン南蛮丼も素晴らしく美味しかったのでびっくりしました。
が、ステーキ丼は、とても500円とは思えないほど、いい牛肉を使っていましたので、感動しました。
素晴らしい屋台村の市場ですね。これからはちょくちょく顔を出したいと思いました。
表に出ると、丸亀市在住の若者達が、ヨサコイを踊っていて、もう、市場全体がお祭り状態でした。
香川県内在住の皆様、まだ行かれていないのならば、是非是非、高松市トキワ街商店街の「高松いろは市場」に行かれることをお勧めします。
素晴らしいし、底抜けに楽しいですよ。
そして、帰り道、なんとなんと、久しぶりに、シンガーソングライターの、せとちとせさんにバッタリ出食しましたので、今度のレインボー通りの「K」で一緒に『讃岐ブギウギ』を演奏することにして、オーナーに連絡しました。
彼女も、「トキワ茶寮」のそばに、自前のピアノのあるスタジオを始めたそうなので、また、遊びに行こうと思っています。トキワ街を音楽文化的にも発展させたいと思いました。
掲載写真は、順に、「高松いろは市場」内の、「麺屋軌跡」の『鯛のだしで作った塩ラーメン』、「キャラバン・サライ・ダイニング」の『美声の劇団員の若者』、「キャラバン・サライ・ダイニング」の『ワンコインステーキ丼』、です。
Posted by 岡田克彦 at 23:00│Comments(0)
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