2012年05月31日
香川県でのうどんの位置づけ

ここのところの、讃岐うどんブームは、一朝一夕のことではなく、香川県という地域が、1200年前に、香川県出身の弘法大師によって唐の国からうどんが伝えられて以来大切に育んできた、うどん文化に支えられたものであることを、今回は、ご案内したいと思います。
まず、他県では考えられない特徴的なことは、下記です。
1.2000年以降本格創業の、香川県内の資本のセルフうどんチェーン店に共通していることは、全てが広大な農場を持っていて、材料の農産物の仕入原価を落としていること。
2.香川県漁業協同組合連合会やJA香川県と緊密に提携してトッピングの天麩羅の材料の海産物や農産物の仕入原価を落としていること。
3.この仕入れルートは、「丸亀製麺」のような、よそ者は絶対に使えないようにしている、グローバルスタンダードとは対極の、閉鎖性にあること。

4.うどんの材料の小麦粉の開発について、「さぬきの夢2000」や「さぬきの夢2009」の品種改良にあたって、JA香川県が全面協力していること。
5.香川県庁の外郭団体の、讃岐うどん振興組合が「本格讃岐うどん」という商標登録を駆使して、一攫千金に走る讃岐うどん店を認めないようにしていること。
6.讃岐うどん振興組合主催の、「讃岐うどんグランプリ」で、毎年、優れたうどん職人を表彰して香川県内においてPRしていること。
7.香川県内のほとんど全ての町内会長が、讃岐うどん製麺所の社長なので、香川県においては、地元の名士=うどん職人さん、ということが、1200年前から決まっていること。
8.香川県観光振興協会のPRによる「うどん県 それだけじゃない香川県」という活動のみが、県外からは注目されていますが、それ以前の、上述の7項目の香川県内の体制というものが、バックヤードに強固に偏在していること。なぜなら、関係する人間全員が、うどんが大好きで日常食にしているという大前提があるからなのです。
9.毎年のベンチャービジネスの香川県内のナンバーワンは、讃岐うどん店であること。そして、これは、TOPIX や、景気動向、大型の公共投資、などと全く無関係に、1200年前からの香川県においてはずっと続いていること。

※ 以上の9点が、他県では考えられないことだと思うのですが、大学時代から母の介護のため高松にUターンした37歳まで東京にいた私が強烈に感じたことをつけ加えます。
ビジネス文書において、東京、というか、全国共通の書き出しは、「拝啓 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」で、最後は、「敬具」で終わることは決まっていますが、この文面の、起承転結の、結、の少し前に、『寒さ厳しき折、お体ご自愛下さい』『次回のゴルフコンペでのご活躍を祈念しております』、などを入れるのが、他県では普通なのですが、香川県においては、『寒さ厳しき折、お体ご自愛下さい』『次回のゴルフコンペでのご活躍を祈念しております』、のところに、『先般開店した、宇多津町の「手打ちうどん店 讃岐屋」のうどんの喉越しは最高だと感じ入りました。』等の、讃岐うどん店情報を入れた方が、相手との親密度を高めることができ、絶対的な優位に立てること。この点は、私自身、痛感したことです。
以上、うどんが香川県で文化になっているのは、社会全体の仕組みが1200年前からそうなっていることをご案内いたしました。

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Posted by 岡田克彦 at 12:06│Comments(0)
│讃岐うどん