2012年03月26日

AIJ投資顧問の1500億円かすめとり


1978年9月のことでした。



私が、ケインズの一般理論とパティンキンの金融論を英書で読んで勉強していた、早稲田大学政経学部経済学科の、故.堀家文吉郎教授研究室には、10月から解禁になる会社訪問前に、第一勧銀、富士銀行、三菱銀行、などの都市銀行、住友信託銀行、日本興業銀行、などの長期銀行、と、野村證券の人事部長が順次いらして、会社説明と、ぜひ我が社に来て下さい、という勧誘がありました。



堀家先生が、金融論では有名な教授でしたので、各金融機関から依頼があったためだそうでした。



私は、大体からして、のんびりしていた方でしたので、大学二年までは就職のことなど考えたこともなく、作曲とピアノや室内楽演奏に注力していましたが、堀家先生が大好きだったので、研究室では大学一、二年も必死で経済学を勉強していた研究生もいましたので、一生懸命勉強しましたので、当時の日本の金融機関で仕事をするのならば、短期ではなく長期の金融機関で、借金の証文にすぎない債券を主に扱っている、興銀や長銀のような発券銀行ではなく、信託銀行がいいなと思っていました。証券会社のようなものは、銀行と違ってストックもなく融資を通じて企業を育てることも出来ない、フィー(手数料)だけで稼ぐような会社には、、全く興味がありませんでした。



が、いろいろいらっしゃる各社の人事部長とは初めて会う一期一会でしたから、室内楽の仲間と初めて出会った時に相手の感受性を直感する、自分の感性で素直に接することがとても楽しかったので、もっぱら、人事部長の人間観察をして訪問する会社を決めようと思っていました。



この中で、一番、感受性が摩滅してお金のことしかおつむにない瓦礫は、野村證券の人事部長で、次にひどかったのは、富士銀行の人事部長でしたので、この二社には、絶対に訪問しないことを決めましたし、一番感受性が豊かだったのが、住友信託銀行の吉村さんでしたので、自分の就職希望先は、この一連の研究室での人事部長との面会で決めました。



今にして思うと、とてもラッキーでしたね。当時は第一次オイルショック後で就職もそんなに楽な時期ではなかったのですが、いくら楽でなくても自分の希望も夢も持たず、生活のためだけに就職することは絶対にいやでしたので、「住友信託の吉村さんと一緒に仕事がしたい。」と切実に思ったので、都市銀行は全てオミットして、信託銀行で毛に会社訪問することにし、希望通り、住友信託銀行に就職できましたが、ついでに回って内定をもらったもののお断りした、東洋信託銀行(UFJ信託銀行)と三井信託銀行の人事部長とも懇意になりましたので、その後の会社生活でも、社外交流の起点になりました。



当時から、私は一期一会は大切にしていましたので、どのような結果になってもこの世で出会っていろいろお話させていただいた方とは、仲良くしたいと思って生きていましたから、知らない人と出会って「むかつく」などという感情を持ったことは、これまで一度もないのです。



だって、お互い100年程度しか生きていないのですから、新たに出会った人に「むかつく」感情を持つ時間は全く無駄ですので、「むかつく」前にその人との出会いを否定する生き方が効率的だと思いましたから、第一印象で出来るだけ相手の内実を見出すように自分の感受性を磨かないといけないと思って生きて来ました。



こういう出会い方は、引きこもっている人には絶対に出来ないですね。いろんな人といきなり出会って、良いことも悪いことも、いろいろな経験をすることから、鍛えられるのですから。



さて、この時、こういう風に、性善説に基づいていろいろな人と出会っていた私でさえも、「いったいこんな人間がいるのか。こんな人間が人事部長をしているなんてどうしようもない会社だ。」と感じて、史上最低の企業だ、と確信したのが、野村證券でした。



この時、初対面の私たちに向かって、野村證券の人事部長が話した内容は、「我が社に就職すれば、お金が儲かる。」ということだけだったのです。私の実家は少なくとも、彼が一生かかって手にする資産よりは多額の資産家でしたが、そのために頭に来たのではないのです。



「結局、人間、お金ですよ。」という言い分は、生命保険のセールスのおばちゃんや、アムウェイでネットワーク販売に邁進している皆様がよく口にしますが、一番、人間の可能性を否定する言語道断な意見なので、私は、昔から大嫌いなのです。



アーティストの私の絶対的意見は、「結局、人間、才能ですよ。」です。これは、もちろん、才能のない人は存在価値がないという意味ではないのです。才能があるなあ、と感じる人をリスペクトし、才能がないなあ、と感じる人を反面教師にすることで、人間は正しい人生を送れるのです。ですから、正しい人生を構築するために必要な能力は、豊かな感受性、謙虚さ、とヒューマニズムなのです。



「結局、人間、お金ですよ。」という、人間性を否定する間違えた考え方で正しくない人生を送っていると、「結局、人間、お金ですよ。」と信じて生きているだけの物体の、極道、右翼や、麻薬密売人の餌食になるのです。日本は法治国家ですから、極道、右翼や、麻薬密売人は、デリートされる仕組みになっていますが、法治国家であってもなくても、正しい生き方の出来ない人は、存在意義が全くないのです。



あの日以来、私は、「野村證券は極道だ。」と信じて疑いませんので、その後、住友信託銀行で営業の仕事をしていても、野村證券とバッティングしたときだけは、おおっぴらに、その取引先に、「野村證券は極道ですよ。」とご案内して、絶対に取引をやめることと、野村證券の担当者を出入り禁止にするよう、ご案内してきました。



が、これは、営業のためではなく、社会正義のためでした。



ところで、59歳の、AIJ投資顧問の浅川和彦社長が、1500億円をかすめとったそうですが、このかすめとりノウハウは間違いなく、浅川和彦社長がかつて働いていた野村証券で身につけたものに間違いありません。



「いやいや、野村證券にも従業員がたくさんいますから、一括してそんなことを言ってはいけません。」というご意見の方に対しても、私は、前述の大学時代の野村證券の人事部長との出会いをご案内して反論できます。人事部長が「我が社に就職すれば、お金が儲かる。」ことを自慢しているような企業なのです。「我が社に就職すれば、お金が儲からない。」と思っている従業員を排斥削除したことは明確なのですから、「野村證券の従業員は全員、極道に近い拝金主義者だ。」と、私は断言できるのです。



民放各局がワイドショーなどで、AIJ投資顧問の浅川和彦社長の、1500億円かすめとり事件について騒いでいますが、遅いですね。野村證券出身の人が社長をしているのです。野村證券が極道のように暖簾分けしただけのことなのですから、もう少し早めに報道していれば被害も拡大しなかっただろうと思いますので、民放各局の感受性の鈍化は明確ですね。



まあ、こういう事件が起こってくれたほうが、視聴率が上がり儲かるので、放置していたのかもしれませんけど、それならばなおさら、日本の民放放送局はどうしようもなく文化水準が下落していますね。



困ったことです。




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