2012年07月11日
「うどんや」の『冷たいかけうどん』

「暑い時には、冷たいかけうどんを食べるといいよ。」と私が言ったところ、彼は、
「そんな、冷たいかけうどんを食べる習慣なんて、神戸にはありませんよ。かけうどんは、熱いに決まっています。」
彼は、信じられないような顔をして、車を運転していた私に助手席から言いました。
4年前のこと。神戸のジャック君との会話でした。
私のホームページを見て、掲載していた作曲作品に感動された、神戸市在住のジャック君が、私と、私の自作と、シューベルトの「アルペジオーネソナタ」を合奏するために、自分の愛奏しているヴィオラを持って、私の自宅へ宿泊方々遊びに来ました。
彼は大学を卒業して就職したばかりの23歳の青年でした。それ以来、いろいろなお付き合いが広がり、ご両親も高松に遊びにいらっしゃるなどの家族ぐるみのお付き合いになりました。
当然、私の知っている美味しい讃岐うどん店は大体全部ご案内しましたので、何回も高松にいらっしゃるうちに、ラグビー部出身の彼の来高目的は、だんだん、合奏から讃岐うどんを食べることに変わって行きましたが、これは仕方のないことだと思っています。
現在は、私の中でも、ショパンよりうどんが好きですから仕方のないことですね(笑)。
ただ、私は高松生まれ高松育ちなので、『冷たいかけうどん』は普遍的に存在するものだと思っていましたので、神戸に『冷たいかけうどん』がない、と聞いてびっくりしたものでした。
他県の皆様は、冷たいうどん、というと、『ざるうどん』『冷やしうどん』『冷たいぶっかけうどん』などを想像するようですが、香川県民においては、『冷たいかけうどん』あるいは『冷やかけうどん』が、冷たいうどんの代表格になるのです。
そしてそれは、香川県では、喫茶店のコーヒーに、ホットコーヒーとアイスコーヒーがあることと同程度の常識なのです。
他県の皆様にとって、うどんは食事のようですが、香川県においては、うどんは噛まずにいただきますので、飲み物でもあるので、食事としていただくこともあれば、間食やおやつでもあるのです。
今のような暑い時に、私などは、喫茶店で『アイスカフェラテ』をいただくこともありますが、セルフうどん店で『冷たいかけうどん』をいただくことの方が多いですね。
その方が冷却効果が強いからです。
『アイスカフェラテ』は、冷たい液体ですから、冷たいお茶をいただくのと同程度の冷却効果しかありませんが、『冷たいかけうどん』を讃岐風の食べ方でいただく場合は、冷たいうどんを冷たいイリコだしと一緒に、噛まずに流し込みますから、トコロテンや冷やし素麺などをいただく時と同様の状況を、うどんにこしがありますので、さらに強くする効果があるのです。
・・・・・そんなことを思いながら、今日の夕方も蒸し暑く雨が降ったりやんだりしていたので、私は、南新町商店街のセルフサービスうどん店「うどんや」で、『冷たいかけうどん』をいただきながら、昔のことなどを思い出していました。
私が子供の頃、高松では喫茶店に行くことは、大変な贅沢だったのです。それはコーヒーや紅茶が高いからで、寒い時も暑い時も、寒さや暑さをしのぐためには、セルフサービスうどん店にゆくことが普通だったからです。
板前をしていた祖父からはよく言われました。
「喫茶店に行ったらいかんで。コーヒーが250円もするんやけん、贅沢じゃ。うどんは(当時は)50円やけん、うどん屋に行ったら5回も行ける。」
まあ、そんなこと言ってもですね、雰囲気などもありますから、のんびりしていた私は、どっちに行こうと自由だよ、なんて思っていました。
しかし、いろいろと考えると、暑くて暑くて汗が吹き出るような時には、うどん店で、「冷たいかけうどん」をいただく方が、体にははるかにいいな、と、感じている今日この頃です。
なぜなら、甘いものが欲しかったら、甘く炊いた『高野豆腐の天麩羅』を『冷たいかけうどん』にそえていただけば、たくさんのアミノ酸を摂取できますし、うどんの、冷たいイリコだしには、塩分だけでなく、カルシウム、鉄分、ビタミン、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサベンタエン酸)、イワシペプチド、なども一杯入っていますし、無料のトッピングの、すりゴマを載せると、セサミン、摩り下ろしショウガを載せると、ジンゲロールなどの素晴らしい栄養を摂取出来ますので、少なくとも、アイスコーヒーによるケーキセットよりは、栄養価は高いと思います。
そして、一番大切なことですが、高松市内のセルフうどん店の『冷たいかけうどん』が170円、『高野豆腐の天麩羅』が90円くらいですので、冷たいかけうどんと高野豆腐の天麩羅は、260円でOKなのです。
しかし、サンマルクカフェあたりでも、シュークリームとアイスコーヒーのセットは、390円もするので、大変に高価なのです。従って、蒸し暑くて疲れたときには、高松ではうどん店に入って休んだ方が、よいのですね。
47都道府県において、うどんの消費量が、香川県はダントツ1位なのですが、それは、うどんが食事時だけでなく、おやつ時にも食べられているからだと私は思います。
・・・・・そうこうしていると、果たして、学校帰りの高松市の女子高生がたくさん、「うどんや」に入店してきました。
「私は、特小にするわ。」「私も、特小にしておこうっと。」なんておしゃべりしているのです。
「うどんや」の『特小』(150円)とは、小(1玉)よりも小さいものではないのです。以前の小(1玉)〔220g〕の名称を特小に変えただけなのですが、これに伴い、小は1.25玉に増えたのです。
ですから、値下げなのですが、このようなことは、高松市内のうどん店においては、日常茶飯事なのです。
東京の女子高生ならば、喫茶店に入って、「私は、アイスオーレにするわ。」なんて会話をしているのかもしれませんが、高松の女子高生と東京の女子高生のどちらが豊かで幸福なのかは、それぞれの本人が決めることだと思っています。
なぜなら、幸福感などというものは、見かけでは絶対に判断できないからです。重要なことは、中身なのです。
掲載写真は、「うどんや」の『冷たいかけうどん』(170円)です。

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